【11月30日 AFP】オーストリアの作曲家グスタフ・マーラー(Gustav Mahler、1860~1911年)の交響曲第2番「復活(Resurrection)」の希少な直筆譜が29日、英ロンドン(London)で競売にかけられ、450万ポンド(約6億3100万円)で落札された。楽譜としては史上最高値となった。競売を主催したサザビーズ(Sotheby's)が明らかにした。

 交響曲第2番「復活」の全232ページに及ぶこの楽譜には、マーラー自身による消去の跡や書き換え、注釈が含まれており、そのほとんどは鮮やかな青色のクレヨンで記されていた。

 この自筆譜は、同作品の熱心な愛好家だった米国人の実業家ギルバート・キャプラン(Gilbert Kaplan)氏が所有していた。同氏は自らの人生をこの曲の指揮に捧げ、今年初めに死去した。

 キャプラン氏は1965年に米ニューヨーク(New York)のカーネギー・ホール(Carnegie Hall)で演奏されたマーラーの同交響曲を聞き、その魅力に取りつかれてしまった。実業家だった同氏は世界有数の指揮者らに師事して指揮法を学び、生涯で100回以上の演奏を行った。

 サザビーズは声明で、「楽譜はマーラーが書き残した形をそのまま保持しており、作曲の過程が反映されている」と述べ、また完全な形で競売にかけられた唯一の交響曲の楽譜であることを付け加えた。競売には4人が電話で参加したが、匿名の入札者が落札した。

 これに匹敵する競売は、1987年に250万ポンド(約3億5000万円)で落札されたウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(Wolfgang Amadeus Mozart)の9つの交響曲の直筆の楽譜と、1994年に150万ポンド(約2億1000万円)で落札されたロベルト・シューマン(Robert Schumann)の交響曲第2番の直筆の楽譜で、両方ともサザビーズが主催した。(c)AFP/Dario THUBURN