妊婦のインフルエンザ感染と子どもの自閉症に関連性なし 研究
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【11月29日 AFP】妊婦のインフルエンザへの感染と、子どもの自閉症との間には、何ら関連性はないとする研究結果が28日、発表された。
子どもの自閉症をめぐっては、母体感染が関連していると指摘する研究者がいる一方で、そうした関連性を真っ向から否定する意見もあり、その見方は割れていた。
米国医師会(AMA)が発行する医学誌「JAMA小児科学(JAMA Pediatrics)」に掲載の研究論文は、米カリフォルニア(California)州で2000~2010年に生まれた子ども19万6000人以上を対象にデータを収集し、調査を行った。
このうち、自閉症と診断されたのは3100人だった。自閉症は、遺伝的あるいは環境的な要因で発症すると考えられているが、その原因についてはほとんど解明されていない。
米医療団体カイザー・パーマネンテ(Kaiser Permanente)のアウセニー・ゼルボ(Ousseny Zerbo)氏が率いた今回の研究では、母親が妊娠中にインフルエンザにかかったことと、子どもの自閉症発症リスクには何ら関連性も見られなかった。
また、妊娠第2期(13~28週)と第3期(29週以降)に母親がインフルエンザの予防接種を受けたことも、子どもの自閉症との間に関連性は見つからなかった。
論文は、「母親が妊娠第1期(1~12週)に予防接種を受けると自閉症スペクトラム(ASD)のリスクが高まることが示唆された」と指摘しながらも、このことは他のリスク要因の調整を行った後では「統計的に重要な意味を持たなかった」と説明している。
研究チームは、現時点で予防接種に関する方針や方法に対して変更を推奨することはないが、「さらなる研究が必要」としている。(c)AFP