【11月28日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米次期大統領の上級顧問らは27日、キューバのフィデル・カストロ(Fidel Castro)前国家評議会議長の死去を受け、トランプ氏はキューバと「もっと有利な取引」を行うと明言した。ただし、そのことがバラク・オバマ(Barack Obama)現米政権によるキューバとの歴史的和解にどう影響し得るかについては言及しなかった。

 25日に死去したカストロ前議長について、米共和党の重鎮らは一斉に「残忍な暴君」だと非難していた。だが、2014年にオバマ大統領とラウル・カストロ(Raul Castro)国家評議会議長が発表した両国関係の再構築に向けた政治対話の開始について、これを反故にする兆候を示す声は、トランプ氏に近い筋からは直接出ていなかった。

 しかし27日になってトランプ氏の顧問らは、退陣間近の民主党オバマ政権がキューバに対し、人権や民主主義、自由市場経済などの分野で十分な条件を引き出せないまま、1962年に米国が発動した経済制裁の緩和を筆頭とする過剰な譲歩を行ったと批判した。

 トランプ次期米政権の首席補佐官に指名されているラインス・プリーバス(Reince Priebus)共和党全国委員長は、米FOXテレビのニュース番組「フォックス・ニュース・サンデー(Fox News Sunday)」に出演し「われわれはもっと有利な取引をする必要がある」と述べ、さらに「オープンで自由な関係を構築するには、(キューバが)抑圧、市場開放、信仰の自由、政治犯の扱いについて変わる必要がある。これがトランプ次期大統領の考えだ」と語った。

 さらにプリーバス氏は、トランプ氏の方針として「ラウル・カストロ政権から何らかの行動が起こされることなくして、米国からキューバへの一方通行の関係となることは無い」と述べた。

 またトランプ氏のブレーンの1人、ケリーアン・コンウェー(Kellyanne Conway)氏は、両国の国交が回復した2015年の夏以降、米国はキューバから「見返りを何も得ていない」と述べ、オバマ政権を非難した。

 コンウェー氏はトランプ次期大統領がキューバと再び対話を開始する可能性はあるが、それは抑圧をなくし政治犯を釈放した、これまでとは「全く違うキューバ」との対話でなくてはならないと語った。(c)AFP/Nicolas REVISE