【11月28日 AFP】16F1第21戦アブダビGP(Abu Dhabi Grand Prix 2016)は27日、決勝が行われ、メルセデスAMG(Mercedes AMG)のニコ・ロズベルグ(Nico Rosberg)が2位に入り、自身初の総合優勝を果たした。

 31歳のロズベルグは、このレースで最終的に勝利を飾ったチームメートのルイス・ハミルトン(Lewis Hamilton)が、チームオーダーを無視して最終盤にペースを落として困難な状況にさらされたものの、2位の座をもぎ取ってF1史上最も長かったシーズンを制した。

 最終周に巧妙な罠を仕掛けてチームとロズベルグを動揺させたハミルトンは、王座を獲得できなかったドライバーとしては最多となる今季10勝目、通算53勝目を手にした。

 フェラーリ(Ferrari)のセバスチャン・ベッテル(Sebastian Vettel)が後ろに迫りくる中、ロズベルグのポジションを危ういものにするため、ハミルトンはポールポジションを獲得した予選よりも9秒遅いタイムで最後のラップを走行。スピードを上げるようチームから2度指示されながらもハミルトンはこれを無視したが、ロズベルグがアタックされ、追い抜かれるような状況を作り出すことはできなかった。

 ドイツ人ドライバーとして3人目の王者となったロズベルグは、史上2人目となる親子2代でのF1タイトル獲得を果たしている。父親のケケ・ロズベルグ(Keke Rosberg)氏は34年前に、ウィリアムズ(Williams)で王座を獲得した。1996年には、デーモン・ヒル(Damon Hill)氏が、父グラハム・ヒル(Graham Hill)の足跡をたどり同様の偉業を達成している。

 ベッテルがマックス・フェルスタッペン(Max Verstappen)とダニエル・リカルド(Daniel Ricciardo)を抑え込んで3位フィニッシュを果たす中、表彰台に向かうドライバー間の緊張感は明白なものだった。

 ロズベルグがF1の商業面を統括するFOA(Formula One Administration)のバーニー・エクレストン(Bernie Ecclestone)氏と強い抱擁を交わして抱き上げる中、ハミルトンは意気消沈して地面に目を向けていた。

 緊迫した最終ラップから解き放たれたロズベルグは、「後ろから彼ら(ベッテルとフェルスタッペン)が迫ってきて、最後は最高に楽しめるものじゃなかった。父親が成し遂げたことと同じ偉業を達成できて誇らしく思う」と語った。

 表彰台の上では潔さを取り戻したハミルトンは、十代のころゴーカートでも競い合っていたロズベルグと握手し、抱擁を交わした。

 ハミルトンは、「ニコに大きな祝福を送る。お見事だ」とロズベルグを称賛した。

 奏功することのなかった自身の策略についてハミルトンは、「危険なことをしたとも、不公平なことをしたとも思っていない。僕らはチャンピオンシップを争っていた。僕は首位に立って、レースのペースをコントロールしていた。それがルールさ」と応じた。

 一方、2009年の王者、マクラーレン・ホンダ(McLaren-Honda)のジェンソン・バトン(Jenson Button)とウィリアムズのフェリペ・マッサ(Felipe Massa)は、成功を収めた長いキャリアに今GPで終止符を打った。

 バトンはわずか12周目でリタイアを余儀なくされ、マッサは9位でレースを終えている。(c)AFP/Daniel ORTELLI