【11月26日 AFP】米大統領選で緑の党(Green Party)の候補だったジル・スタイン(Jill Stein)氏は25日、共和党候補だったドナルド・トランプ(Donald Trump)氏が勝利した3つの激戦州の一つ、ウィスコンシン(Wisconsin)州に再集計を要求する書面を提出した。選挙結果に異議を申し立てる意図がある。

 ウィスコンシン州選挙管理委員会は、スタイン氏と別の非主流派候補1人からの再集計要求を受け、ウィスコンシン州全域で米大統領選の再集計を実施すべく準備中だと述べた。

 同選挙管理委員会によると、再集計の期限は12月13日までで、迅速に対応する必要がある。再集計の費用は緑の党の負担になり、現在請求金額を算定中だという。

 スタイン氏は大統領選の結果について、トランプ氏が勝利したペンシルベニア(Pennsylvania)州、ミシガン(Michigan)州でも異議を申し立てる方針だとしている。

 スタイン氏陣営は、かつての主要産業だった製造業や重工業が衰退した地域「ラストベルト(Rust Belt、さびの地帯)」の3州すべてで異議申し立てを行う理由として、詳細は明らかにしていないものの「異常性」があったからだとしている。

 スタイン氏によると再集計費用として700万ドル(約7億9000万円)を集める目標であり、すでに480万ドル(約5億4000万円)以上を調達済みだという。

 再集計要求の期限はペンシルベニア州が今月28日、ミシガン州が今月30日となっている。

 今月8日投票の米大統領選にトランプ氏の対立候補を立てていた左派陣営の一部から、選挙結果への疑念が上がっていた。激しい選挙戦が繰り広げられた今回の米大統領選には、ロシアがサイバー攻撃を仕掛けているといううわさが付きまとい、トランプ氏陣営による「不正が行われる」との主張もあった。

 スタイン氏は自身のウェブサイトで「世論を二分した痛みを伴う大統領選の後、有権者や政党のデータベース、個人の電子メールアカウントに対するハッキングが報じられ、大勢の米国人が選挙結果を信用していいのかどうか疑問に思っている」と述べた。

 専門家らによると再集計によって選挙結果が覆る可能性はまずないが、民主党候補だったヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)氏が得票数でトランプ氏を200万票以上リードしていたことで火が付いた、トランプ氏勝利という選挙結果の正当性をめぐる論議がいっそう過熱する可能性はあるという。(c)AFP