【11月25日 AFP】スペインのバルセロナ(Barcelona)市は24日、民泊仲介サービスの「エアビーアンドビー(Airbnb)」と「ホームアウェイ(HomeAway)」に対し、観光客受け入れの許可を得ないまま宣伝活動を行ったとして、それぞれ60万ユーロ(約7200万円)の罰金を科すと発表した。

 同国第2の都市で、海に面した人気のリゾート地でもあるバルセロナでは、押し寄せる観光客の波に対する地元住民の不満が高まり、不動産価格の上昇によって経済的に豊かではない住民は市外に追いたてられ、街の魅力が損なわれつつある。

 発表によると、同市は両社に対し、許可なく「観光客向けの宿泊をインターネットで繰り返し宣伝したことに対し、それぞれ60万ユーロの罰金を科す」手続きを開始した。

 2012年の地方法によると、カタルーニャ(Catalonia)自治州で訪問客に貸し出されるアパートは、同州の観光登録を行って許可を得なければならないとされている。同市議会によると、許可を得ていない宿泊施設はエアビーアンドビーで3812件、ホームアウェイで1744件に上るという。

 エアビーアンドビーは声明で「当社は1か月足らず前に市当局と会合し、(市役所と)協力して同市の利益のため支援すると約束した」と述べ、不服を申し立てる姿勢を示した。

 観光ブームは長年にわたり成功物語だとみられていたが、騒音と住宅価格の上昇、そして違法な民泊などによる絶え間ない問題から、同市の170万住民の多数は終わりなき訪問客の波と闘う姿勢を示すようになった。

 2014年8月、同市の違法民泊所が多いバルセロネータ(Barceloneta)地区を3人のイタリア人観光客が裸で徘徊(はいかい)している写真を新聞が掲載、住民らに衝撃を与えたことで、この問題は一気に注目を集めた。

 民間企業とは異なり、課税や規制の対象になっていない民泊仲介サービスは、従来の観光業者から収入を脅かす存在と見られており、世界各地で警戒・監視の対象となっている。(c)AFP/Daniel BOSQUE