【11月22日 AFP】トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領が21日のイスラエルのテレビ局とのインタビューで、ナチス・ドイツ(Nazi)の独裁者アドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)とイスラエルのどちらが残忍かといった質問は「妥当性に欠ける」と述べたために、両国関係に新たな緊張が生じそうだ。

 エルドアン大統領は「ヒトラーがしたことは認めないが、イスラエルがやってきたことも認めない。これだけ多くの人々が死んでいる状況で、どちらがより残忍なのかと尋ねる問いは妥当ではない」との考えを示した。

 トルコとイスラエルの関係は2010年、パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)に向かうトルコの支援船をイスラエル軍が急襲し、乗っていたトルコ人10人が死亡した事件をめぐり過去最悪の水準まで悪化。6年にわたって断絶状態が続いたが、最近は元の水準にまで正常化されつつあった。しかし、トルコが約1週間前に新たに駐イスラエル大使を任命した矢先に、今回の大統領の発言が波紋を広げている。

 イスラエルに関するエルドアン大統領の発言でヒトラーに触れたものはこれが初めてではない。支援船襲撃事件の際には、イスラエルは「ヒトラーの魂を生き永らえさせている」と述べて非難した。また国連(UN)推計でパレスチナ人2251人が犠牲となったイスラエル軍による2014年のガザ侵攻では、イスラエル人には「良心も名誉も誇りもない。彼らは四六時中ヒトラーを呪っているが、蛮行ではヒトラーの上をいく」と述べ、イスラエルがパレスチナ人に行っているのは「集団虐殺」だと非難した。(c)AFP