【11月22日 AFP】フォーミュラワン(F1、F1世界選手権)のマレーシアGP(Malaysian Grand Prix)が、興行収入の減少を理由に2018年で終了することになった。アジア地域で最も歴史あるF1開催地の一つとして知られる同国の政府関係者が21日、発表した。

 マレーシアのナズリ・アジズ(Nazri Aziz)観光文化相は、地元メディアに対し、F1を取り巻く経済的負担があまりにも大きく、2年後に契約満了を迎える同GPの契約を更新しないと公表。先月には別の政府関係者らが、テレビ視聴率や観戦チケットの売り上げが低下しているためレース開催の見直しを図っていると明かし、同GPの将来は不透明な状況となっていた。

 アジズ観光文化相は国営ベルナマ(Bernama)通信に対し、「年間3億リンギット(約75億円)も費やしているが、同等の収入が得られていない。F1グランプリは、見返りがない」とコメントすると同時に、1999年からクアラルンプール(Kuala Lumpur)近郊のセパン・インターナショナル・サーキット(Sepang International Circuit)で開催されている同GPに高額の費用をかけているにもかかわらず、観客数が減っていることにも言及し、「人々は興味を失っている」と語った。

 きらびやかなナイトレースのシンガポールGP(Singapore Grand Prix)など、隣国との競争が激化しているマレーシアではまた、世界的な原油価格の下落や経済成長率の伸び悩みにより、石油輸出国としての国の経済力が衰退傾向にある。

 F1は赤字覚悟で開催される場合もあるが、その理由としては、世界最高峰のレースとして名高く、世界中から観客を引き込めるなど、多くの都市にとって魅力が大きいことが挙げられている。 

■見返りの低下

 マレーシア政府関係者によれば、収容人数12万人のセパン・インターナショナル・サーキットは、先月のGPで観客が4万5000人しか集まらず、レース当日のテレビ視聴率も振るわなかったという。

 先月には、カイリー・ジャマルディン(Khairy Jamaluddin)青年・スポーツ相がツイッター(Twitter)で、近隣国との競争について言及し、「観戦チケットの売り上げだけでなく、テレビ視聴率も下がっている。シンガポールを筆頭に中国や中東でも開催されているので、レースを観戦しに訪れる外国人観光客も減っている。利益は大きくない」とつづっていた。

 2008年以降、世界でもテレビ視聴者が2億人減少したと公表されているF1とは対照的に、世界ロードレース選手権(WGP)のマレーシアGPは安定した人気を誇っており、今年のレースも観戦チケットが売り切れた。セパン・インターナショナル・サーキットは先月、同レースとの契約を少なくとも2021年まで延長することで合意している。(c)AFP/Dan Martin