【11月21日 AFP】ブラジルのリオデジャネイロ(Rio de Janeiro)警察は20日、ファベーラ(貧民街)で大規模な治安作戦を展開した。映画『シティ・オブ・ゴッド(City of God)』の舞台として有名なファベーラでは19日、警察のヘリコプターが近郊で墜落し警察官4人が死亡したほか、翌20日には若者7人の遺体が発見された。

 リオデジャネイロ州の治安担当責任者は記者会見で、19日夜から行方不明だった若者7人の遺体が20日にファベーラの沼地で発見されたことを明らかにした。ニュースウェブサイトG1によると、遺体には拷問を受けたような痕があり、地元住民は警察が殺害したと非難しているという。

 一方、警察によると、薬物の密売人らが19日夜に道路を封鎖しごみやタイヤに火をつけたことを受けて、ヘリコプター2機による上空からの支援を受けながら警察がファベーラに突入したところ、ヘリコプター1機が墜落した。

 G1の報道では、捜査官らは墜落の原因が地上からの砲撃によるものなのか、機体の不具合によるものかを調査するとしている。治安担当責任者はヘリコプターの機体に異常はなく、武装してもいなかったと強調している。

 人口650万人のリオデジャネイロは社会的な格差が非常に大きく、犯罪率が高い。さらに重武装した麻薬密売人らギャング団や民兵組織の存在が状況をより悪化させている。

 リオデジャネイロ州政府は2008年以降、過去30年にわたり密売人らの支配下にあった複数のファベーラを再び制圧する動きをみせている。(c)AFP/Claire DE OLIVEIRA NETO