【11月19日 AFP】世界野球ソフトボール連盟(WBSC)は18日、2020年東京五輪で実施される野球・ソフトボールの試合が原発事故の被害を受けた福島県で行われても、選手の健康への恐れはないと主張した。

 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(The Tokyo Organising Committee of the Olympic and Paralympic Games)は、2011年に発生した東日本大震災による津波や原発事故からの復興を支援するために、野球・ソフトボールの一部の予選ラウンドを福島県で開催する意向を示している。

 この計画には、参加国の間で健康への懸念を引き起こす可能性があるが、WBSCのリカルド・フラッカーリ(Riccardo Fraccari)会長は、福島県は東京から約240キロ北の距離にあり安全だと訴え、「課題はあるだろうが、私が受け取ったデータによれば、現在の福島県に危険はない。この観点から、福島に行くことには何の問題もない」と報道陣に語った。

 イタリア出身のフラッカーリ会長は、19日に福島県にある3球場を視察することになっており、そのなかには第3回WBSC U-15 ベースボールワールドカップ2016(WBSC U-15 Baseball World Cup 2016)が開催されたいわきグリーンスタジアム(Iwaki Green Stadium)も含まれている。

 計12チームが参加した同大会について、「1か国(ドイツ)のみ拒否したが、そのほかの国は福島に行った」と明かした同会長は、放射能汚染についても言及し、「主な課題となるのは施設や日程だ。そのほかのことは何の問題もない」と強調した。

 福島県での開催については、国際オリンピック委員会(IOC)から正式な承認を受ける必要があるものの、最終決定は来月にも下される見通しとなっている。

 政府が指定する「帰宅困難地域」から数十キロ離れた場所に収容人数3万人の野球場が2か所ある福島県での開催計画については、先月ICOのトーマス・バッハ(Thomas Bach)会長が安倍晋三(Shinzo Abe)首相と会談し、五輪関係者がこの計画について選択肢として考慮していると述べたことを受けて提案された。(c)AFP/Alastair HIMMER