スウェーデン中銀、電子通貨発行を検討 現金の使用減る
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【11月17日 AFP】スウェーデンの中央銀行リクスバンク(Riksbank)は独自の電子通貨「イー・クローネ」を2年以内に発行することを検討していると、複数の関係者が16日に語った。
世界最古の中央銀行であるリクスバンクのセシリア・スキングスレー(Cecilia Skingsley)副総裁は首都ストックホルム(Stockholm)で行ったスピーチで、「リクスバンクは現金を発行するのと同じやり方で電子的な決済手段を発行すべきだろうか」と語った。
ただ技術面や法律上の問題を解決する必要があり、リクスバンクが中央銀行として世界で初めて電子通貨を発行するかどうかは不透明だ。スキングスレー氏も、「電子通貨の発行は一見すると簡単そうかもしれないが、中央銀行にとっては全く新しい試みで、前例がない」と述べた。
同氏によると、電子通貨の発行を検討しているのはスウェーデンだけではなく、今年に入りイングランド銀行(Bank of England 英国の中央銀行)やカナダ銀行(Bank of Canada カナダの中央銀行)も議論を始めたという。
エクアドルでは2015年から、携帯電話を使って電子マネー「ディネロ・エレクトロニコ(Dinero Electronico)」による少額決済を行えるようになった。この電子マネーは同国の中央銀行が直接管理し、国の通貨である米ドルと価値は同じだ。主に銀行口座を持たない人々が対象で、その数は人口の半数を占める。
スキングスレー氏は、「スウェーデンは現金を使用する割合が低い。このことは他国の中央銀行よりもわれわれにとって差し迫った問題だ」と語った。だが電子通貨の発行を決定したとしても、現金に置き換わるのではなく、現金を補うものになると強調し、リクスバンクは紙幣や硬貨が社会で必要とされる限りこれらの発行を続けると述べた。
リクスバンクによると、人口の97%が銀行のキャッシュカードを使用するスウェーデンでは、過去5年間で現金の引き出しが約3分の1減少した。現金の使用が減る一方、カードによる支払いは過去5年間で約50%増加している。(c)AFP