(※この記事は、2016年11月17日に配信されました)

【11月17日 AFP】世界では毎週2頭のトラが殺されたり違法に取引されたりしているとの最新の分析結果が16日、発表され、野生に残るトラ4000頭への「破滅的な影響」に警鐘を鳴らした。

 この最新の試算データは、ベトナムの首都ハノイ(Hanoi)で17日から開催される野生動物の国際会議に合わせて発表された。同会議には、英国のウィリアム王子(Prince William)を含む各国の要人や専門家らが参加する。

 2日間の日程で開かれるこの会議には、野生動物の違法取引に対抗するため各国政府、NGO(非政府組織)、活動家などが一堂に会する。会議が開かれるベトナムは野生動物の密輸と消費の巣窟となっている。

 野生動物取引の監視団体「トラフィック(TRAFFIC)」は、世界各地で押収されたトラに関する16年分のデータの最新の分析結果を発表した。同団体は、絶滅の危機に直面した動物の保護や、野生動物の体の部位を取引する者らを政府が捕らえる手助けをする活動を行っている。

 TRAFFICの試算によると、2000年以降、毎年平均110頭のトラが違法取引の犠牲となっているという。

 また、特に東南アジアにある飼育所が、違法取引の後押しにますます大きな役割を果たしていることを、今回の調査結果は浮き彫りにした。

 研究チームは、世界で最も盛んにトラの飼育が行われている国として、タイ、ラオス、ベトナムの3か国を挙げている。

 押収されたトラの部位に占める飼育されたトラの割合は、2000~03年には2%にすぎなかったのに対し、2012~15年には約30%になっている。

 TRAFFICが発表した報告書の共同執筆者、カニター・クリシュナサミー(Kanitha Krishnasamy)氏は、声明で「これらの国々は明らかに、こうした供給源の規制において、意味のある進展をほとんどみせていない」「今後さらに需要が喚起されれば、より破滅的な影響が野生のトラに及ぶ可能性がある」と述べた。(c)AFP