南スーダンで「大規模な残虐行為」の危険 国連事務総長が警鐘
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【11月17日 AFP】国連(UN)の潘基文(バン・キムン、Ban Ki-moon)事務総長は16日、政府軍と反政府勢力の戦闘が続く南スーダンについて「大規模な残虐行為が発生する非常に現実的な危険」があるとの認識を示した上で、同国に展開する国連の平和維持部隊は大量殺りくを阻止できないと警鐘を鳴らした。
この日発表した国連安全保障理事会(UN Security Council)向け報告書の中で指摘した。安保理に対して、大量殺りくが起きた場合、国連はどのような行動を取る用意があるのかについて明確に規定する必要があるとも訴えている。
潘氏は「南スーダンで大規模な残虐行為が発生する非常に現実的な危険があり、特にここ数週間はヘイトスピーチ(差別的な憎悪発言)や、民族対立の扇動が急速に広がっている」と警告。
国連の平和維持部隊は市民を保護するために「必要なあらゆる手段」を講じるだろうが、「国連の平和維持活動(PKO)には大規模な残虐行為を阻止するだけの人員も能力も備わっていないことは明確に理解されなければならない」と指摘した。
PKOの国連南スーダン派遣団(UNMISS)には兵士や警官計1万4000人近くが参加しているが、国連による最近の調査報告書では、7月に首都ジュバ(Juba)で発生した激しい戦闘で民間人を守れなかったことが明らかになっている。
2011年にスーダンから独立した「世界で最も若い国」である南スーダンでは2013年12月以降、サルバ・キール(Salva Kiir)大統領派とリヤク・マシャール(Riek Machar)前第1副大統領派との戦闘が続いており、これまでに数万人が死亡、250万人以上が避難を余儀なくされている。(c)AFP