エボラウイルス、感染しても自覚症状出ないことも 米研究
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【11月16日 AFP】西アフリカで2013年末から大流行し、主にギニア、シエラレオネ、リベリアで1万1000人以上が死亡したエボラ出血熱について、エボラウイルスに感染したにもかかわらず自覚症状が出なかった人がシエラレオネで新たに10人以上見つかったことが、15日付で米科学誌に掲載された米スタンフォード大学(Stanford University)の研究チームの論文で明らかになった。感染の規模がこれまで考えられていたより大きかったことを示唆しているという。
米科学誌「PLOS ネグレクティッド・トロピカル・ディズィーズ(PLOS Neglected Tropical Diseases)」に掲載された論文によると、スタンフォード大の研究チームはシエラレオネの人口約900人のスクドゥ(Sukudu)村に住む男女と子どもの計187人を対象に調査を行った。
同村は2014~15年にシエラレオネ東部でエボラ出血熱が大流行していた当時、感染者が特に多かった3か所のうちの一つで、当初の調査では34人が感染し、28人が死亡したとされていた。
論文は「(調査対象の187人のうち)14人がエボラウイルスの抗体を持っており、ある時期に感染していたことを示している。しかし当初は感染者として数えられていなかった」と指摘している。
14人のうち12人は自覚症状がなく、残りの2人はエボラ出血熱が大流行した当時、発熱の症状が出たという。
今回、感染していたことが確認された14人を加えると、スクドゥ村でエボラウイルスに感染した住民の約4分の1が、自覚症状がないか、あるいは非常に軽い症状で済んでいたことになるという。今回の発見は、エボラ出血熱は必ずしも出血、嘔吐(おうと)、下痢、発熱を引き起こすとは限らないという、すでに提出されていた理論を支持する新たな証拠となる。
なお、エボラ出血熱は感染すると数か月間は精液の中に潜伏することで知られているが、自覚症状がない感染者からそのパートナーにエボラウイルスが感染することがあるのかは分かっていない。(c)AFP