【11月15日 AFP】米南部フロリダ(Florida)州では、公共の場や私有地で自己防衛のために殺傷能力のある武器を使用することを認めた「スタンド・ユア・グラウンド法(正当防衛法)」制定後に、殺人が著しく増加したとする国際研究チームの研究結果が14日、発表された。

 米医学誌「JAMAインターナル・メディシン(JAMA Internal Medicine)」特別号に掲載された論文によると、フロリダ州で発生した殺人は2005~14年の10年間で24%増加した。これは米国全土の殺人発生率が1990年代以降に減少傾向にあるのとは際立って対照的だという。

 論文の共同執筆者で英ロンドン大学公衆衛生学・熱帯医学大学院(LSHTM)のアントニオ・ガスパリーニ(Antonio Gasparrini)氏は「今回の研究は、正当防衛法がフロリダ州の殺人増加の原因となっている可能性が高いことを浮き彫りにするとともに、米国の内外での安全な暮らしに影響を与える将来の政策決定を左右し得る極めて重要な情報を提供している」と述べている。

 フロリダ州は2005年、米国の州として初めて、自己防衛のために銃器を用いる人々の法的保護を拡大した。これに続いて他の多くの州も同様の措置を取った。

 2005年より前のフロリダ州法では、差し迫った脅威に直面し、死亡するあるいは重傷を負う恐れがあると信じるに足る場合には、住居侵入者に対して銃器などの殺傷能力のある武器を使用できるとされていた。

 2005年に当時のジェブ・ブッシュ(Jeb Bush)フロリダ州知事が署名して成立した州法はそれまでの州法の規定を拡大し、「私有地および公共の場で自己防衛のために殺傷能力のある武器を使用した個人」の刑事訴追を免除すると定めた。