【11月13日 AFP】昨年11月にフランス・パリ(Paris)で起きた同時襲撃事件の主犯格とされるサラ・アブデスラム(Salah Abdeslam)容疑者(27)について元担当弁護士は、同容疑者は刑事施設に勾留されてから、ますます過激化していると語った。

 ベルギー人のスベン・メアリ(Sven Mary)弁護士は同日付のオランダ日刊紙フォルクスラント(Volkskrant)に掲載された記事のなかで、アブデスラム容疑者について「ひげをはやし、今では正真正銘の(イスラム)原理主義者だ。以前はナイキ(Nike)のトレーナーを着た、ただの少年だったのに」と語った。

 ベルギー生まれでモロッコ系フランス人のアブデスラム容疑者は、昨年11月13日にフランスの首都パリで同時襲撃事件を起こしたとされるイスラム過激派の実行犯グループの中で、唯一の生存者とみられている。この襲撃についてベルギー当局は、今年3月にベルギーの首都ブリュッセル(Brussels)で起きた同時攻撃とともに、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の上層部からの指令によるものとの見方を発表している。

 アブデスラム容疑者は4か月間逃亡を続けた末、今年3月にブリュッセルで身柄を拘束され、4月にフランスに送還された。

 メアリ弁護士によると、パリ郊外フリューリーメロジ(Fleury-Merogis)の刑事施設に勾留されたアブデスラム容疑者は、独房に収容され24時間体制で監視されるなど「精神的な拷問」下にあり、これが同容疑者を過激化させているとみられる。

 アブデスラム容疑者は、パリ中心部の飲食店やコンサートホール「バタクラン(Bataclan)」、国立競技場「スタッド・ド・フランス(Stade de France)」の同時襲撃を実行したとされる容疑者7人の後方支援を担当していたとみられている。

 アブデスラム容疑者の弁護を担当していたメアリ氏とフランク・ベルトン(Frank Berton)氏は先月、同容疑者が捜査官の質問に一切答えないことを理由に同容疑者の弁護をやめることを決めたと発表した。(c)AFP