【11月12日 AFP】国際サッカー連盟（FIFA）は11日、約8か月前に開館したばかりのFIFA世界サッカー博物館（FIFA World Football Museum）を閉館する可能性を示唆した。ジョセフ・ゼップ・ブラッター（Joseph Sepp Blatter）前会長の肝いりで総工費1億4000万スイスフラン（約152億円）をかけて建設された博物館は、2016年だけで3000万ドル（約32億円）以上の損失を出すと試算しており、来年1月の理事会で今後について話し合うとしている。

　スイス・チューリヒ（Zurich）にある博物館は2月に開館し、セレモニーには就任直後のジャンニ・インファンティーノ（Gianni Infantino）FIFA会長も出席したが、3000平方メートルの敷地を有する博物館の来場者は月平均1万1000人と当初の目標を下回っている。

　インファンティーノ会長は就任以来、コストカットの方針を打ち出しており、FIFA側は即時閉館を否定しているものの、関係者は「新館長がスタッフに対し、博物館を閉館する決定を伝えた」ことを明かした。

　トラブルの兆候は10月、博物館のシュテファン・ヨスト（Stefan Jost）館長が「見解の相違」により辞任したことから始まった。

　FIFAは「世界サッカー博物館の持続可能なビジネスモデルを作り上げるため」、事務次長のズボニミール・ボバン（Zvonimir Boban）氏がトップに立つ特別委員会を設立したと声明を発表し、「新たな革新的モデルとコンセプトを探り、現在の博物館の設計にまで踏み込んだ徹底的な改革を行う」としている。

「FIFAが断行している改革の一環で徹底した分析をした結果、博物館は2016年に約3000万スイスフラン（約32億円）の損失を出すことになる。現在のようなオペレーションの概念では、2016年から先はビジネスとして存続することは許されない」

　最初の提案書は来年1月の理事会で提出される予定となっており、FIFAはチューリヒ市やスタッフともすでに話し合っていることを明らかにしている。(c)AFP