偏見に挑む、アルゼンチン初のダウン症保育士
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【11月18日 AFP】(更新)ノエリア・ガレラさんは子どもの頃、「モンスター」と呼ばれて保育園への入園を拒まれた。だが31歳になった彼女は今、保育士として働いている。
ガレラさんは、偏見にさらされながらもアルゼンチンで初めて保育士になったダウン症患者だ。世界的に見ても数は多くないだろう。認知機能障害者が保育士になれるのか──ガレラさんは、こうしたタブーに挑んだ前例を作った。
北部コルドバ(Cordoba)にあるヘルモニト保育園でガレラさんが受け持つ2歳児と3歳児のクラスでは、子どもたちが彼女を慕って周りに集まってくる。読み聞かせの時間になると、子どもたちはガレラさんに言われた通りきちんと座り、彼女が歯をむき出してサメのまねをしながら絵本を読む姿を夢中になって見つめている。
「この仕事が大好き。小さい頃から夢は先生になることでした。子どもが大好きだから」と、ガレラさんはAFPに語った。「子どもたちに読んだり聞いたりしてほしい。社会では人の話に耳を傾けなくてはいけないから」
園側はガレラさんの意欲に押されて採用を決断したが、一部には反対の声もあった。元園長のアレハンドラ・セネストラーリ氏によれば「責任ある役職」にある人物が、ダウン症患者は担任を持つべきではないと主張したという。保育士と保護者、市長まで加わって議論し、最終的にガレラさんが年少の読み聞かせクラスを教えられないと判断する理由はないという結論に達した。
採用してすぐにガレラさんが強い使命感を持っていることが分かったとセネストラーリ氏は言う。「園児たちが一番求めているものを彼女は与えたんです。それは愛情です」
■自分を信じる心
染色体異常に起因する障害であるダウン症は通常、身体や知能の発達に影響する。だが、ガレラさんの場合、彼女がもつ楽観性や自信が損なわれることはなかった。
幼い時に保育園の園長から「モンスターは入れない」と両親が言われた時の話をガレラさんがしていると、そばにいた母親のメルセデス・カブレラさんは涙ぐんだ。しかし、ガレラさんは笑顔でこう言った。「その園長は、私が子どもたちに読んでいる物語みたい。その人は何も知らず、誤解をしている悲しいモンスター。でも私は幸せなモンスター」
ヘルモニト保育園の現園長のスサナ・セルダン氏は「職員たちにとって特別な経験になっています」と言う。「子どもたちが彼女を受け入れ、自然と園に溶け込ませていることは、私たち全員にとって人生の教訓です」(c)AFP/Paula Bustamante