【11月11日 AFP】今季限りでフォーミュラワン(F1、F1世界選手権)を引退するウィリアムズ(Williams)のフェリペ・マッサ(Felipe Massa)は、満面の笑みを浮かべ、愛情あふれる声援に後押しされながら、最後の母国レースとなる第20戦ブラジルGP(Brazilian Grand Prix 2016)に出走する。

 ブラジル・サンパウロ(Sao Paulo)生まれのマッサは、ブラジルGPの興奮に夢中になりながら育ち、憧れの選手が地元開催のレースで栄光を目指して走る姿を目にしてきた。

 これまで通算2度の優勝を飾った同GPの13日の決勝で、感慨深い見送りを受けることになるマッサは、「自分にとって、とても特別な週末になるだろう。これが最後の母国レースだ。観客席で、アイルトン・セナ(Ayrton Senna)やネルソン・ピケ(Nelson Piquet)を見て応援していたのを思い出すよ。ここへ来ることをずっと夢に描いていたんだ」と明かした。

「それから、ようやくここにたどり着いて、インテルラゴス・サーキット(Interlagos Circuit)では2度の優勝を経験し、表彰台にもたくさん上がった。だから、自分にとって本当にファンタスティックな場所なんだ。来年ここで彼らが走るのを見たら、このレースが恋しくなるだろう。寂しくなるけど、F1で過ごしてきた15年間に満足しているし、出会った人々、友人、ドライバー、本当に長い間彼らと一緒に戦ってきたレース、何もかもが誇りだ。だから、きっとこの場所が恋しくなる。世界中での素晴らしいレースや、たくさんの友人もね」

 10日に行われた記者会見で、年間タイトルを争うメルセデスAMG(Mercedes AMG)のルイス・ハミルトン(Lewis Hamilton)とニコ・ロズベルグ(Nico Rosberg)に挟まれながら、マッサはすべての質問に対して、丁寧かつ心を込めて答えていた。

 一緒に戦ってきたドライバーについて聞かれた際には、「世界最高のドライバーたちだ」と称賛し、「全員が、その才能でここまで来た。本当に厳しい競争の中で、たくさんのことを学んだと思う。すごく良い人生経験になった。F1ドライバーになるのは簡単ではないが、素晴らしい時間を過ごせた。これからも、彼らのことはサーキット上でタフなドライバーとして記憶していくだろう。それに、ここ数年はサーキットの外でも少しずつ良い関係を築けたと思う。全員が引退するころには、もっと良い関係になっているだろうね。彼らの健闘を祈り、応援していきたい」とエールを送っていた。

 マッサはまた、ドライバーズ選手権にも決着がつく可能性のある13日のレースでは、大勢の観客からこれまで以上の声援を送られ、興奮が増すことが予想されるが、「マシンに乗ったら、ほかのことは考えない。ただ、目標に向かって全力を尽くすだけだ。どのレースでも仕事に集中し、可能な限り最高のレースと自分やチームにとってベストの結果を追求していく。特に現在は、コンストラクターズでフォースインディア(Force India)と争っている重要な時期だからね」と話し、感情に流されないと強調した。

「チェッカーフラッグを通り過ぎてレースを終えたときには、特別な気持ちになるのかもしれない。インテルラゴスでファイナルラップに入ったら、本当に信じられない気持ちになるだろう」

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