【11月11日 AFP】米カリフォルニア(California)州の2つの大学当局は10日、大統領選で共和党のドナルド・トランプ(Donald Trump)氏の勝利が確定した後、大学構内でイスラム教徒の女子学生が標的にされる事件があったと発表した。うち1件はヘイトクライム(憎悪犯罪)の疑いで捜査を行っているという。

 いずれの事件も9日、トランプ氏が次期大統領に選出されたことが確定した後に起きた。トランプ氏は選挙戦で敵対的・扇動的な表現でイスラム教徒を非難し、批判を浴びていた。

 サンディエゴ州立大学(San Diego State University)で起きた事件は、大学警察当局がヘイトクライムと強盗などの疑いで捜査している。大学警察によると、被害者の女子学生は構内で2人から「トランプ次期大統領とイスラム教コミュニティーに関する複数の言葉」を浴びせられ、財布とリュックサック、車の鍵を奪われた。女子学生は助けを求めに行き、警察官と共に現場に戻ったが、その時には既に車も盗まれていたという。

 大学総長と大学警察は、共同声明で「女子学生に浴びせられた言葉から、この学生が狙われた理由は、イスラム教を信仰しヒジャブ(頭髪を覆い隠すスカーフ)などイスラム教徒だと分かる服装をしていたためだとみられる」と発表した。

 一方、サンノゼ州立大学(San Jose State University)の大学警察も、構内の駐車場で9日に女子学生を狙った同様の事件があったことを明らかにした。被害者の女子学生は背後からいきなり男にヘッドスカーフをつかまれ、首を絞められたという。

 このほか、ニューヨーク大学(New York University)のムスリム学生協会は、9日朝に構内の祈祷(きとう)室を訪れた工学部の学生がドアに「トランプ」と落書きされているのを発見したとの声明を発表している。(c)AFP