【11月11日 AFP】中国では、親が出稼ぎで都市部へと移動し、農村部に残されたいわゆる「留守児童」の数が902万人に上っていることが10日、明らかになった。中国民生部が同日、最新の政府調査の結果を発表した。

 こうした子どもたちは一般に、祖父母の保護下に置かれるが、中には保護者がいない子どもたちも存在する。このような子どもたちの苦境については、長きにわたった中国の経済成長の影で生じた大きな社会問題のうちの一つとみられている。

 中国では数億人の季節労働者が、出稼ぎのために都市部へと移り住んでいるが、同国の戸籍(戸口)管理制度の下では、子どもたちは都市部で学校や医療機関を利用することが難しく、やむを得ず親族に預けられるケースがほとんどだ。子どもたちは、年に1度しか親に会えないことも少なくないという。

 このうち、祖父母と暮らす子どもの数は全体の90%近い805万人で、他の親族では同3%だった。子ども一人で暮らしているケースは、全体の4%にあたる約40万人に上った。

 同国では時折、生きるすべを持たない子どもたちのニュースに衝撃が走る。

 中国南西部貴州(Guizhou)省では2015年、両親が数か月間にわたり家を離れて置き去りにされた5~14歳のきょうだい4人が死亡する事件があった。4人は、殺虫剤を飲んで自殺したとみられている。

 今回発表された数字をめぐっては、中華全国婦女連合会(All China Women's Federation)による2013年の統計6100万人からは大きく減少している。

 これについて中国民生部は、減少は定義の変更によるところが大きいとしている。婦女連合会が「留守児童」の定義を一方の親が季節労働者の18歳未満としたのに対し、今回の調査では、両親が季節労働者、または一方が季節労働者でもう一方に監督能力がない16歳未満とされた。(c)AFP