インドで「たんす預金」の女性自殺 高額紙幣廃止で混乱広がる
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【11月11日 AFP】高額紙幣の廃止が突然発表されたインドで、いわゆる「たんす預金」をしていた農家の女性が、自分が無一文になってしまうと思い込み、悲観のあまり自宅で首をつって自殺した。警察が11日、明らかにした。
南部ハイデラバード(Hyderabad)の東方に位置するマハブババード (Mahabubabad)に住むカンデュクリ・ビノダ(Kandukuri Vinoda)さん(55)は、流通が停止された1000ルピー(約1600円)札と500ルピー(約800円)札で大量の現金を自宅に保管しており、ナレンドラ・モディ(Narendra Modi)首相による8日の突然の発表を聞き、貯金が全て価値を失ったと思いパニック状態に陥ったという。
ビノダさんは、先月土地の一部を売って現金で550万ルピー(約880万円)を受け取っていた。地元メディアの報道によると、ビノダさんはその中から夫の医療費を支払い、残りは新たな区画購入に充てるつもりだったという。
同国地方部では、遠隔地のため銀行がない、納税額を減らしたいといった理由で、大量の現金を自宅に保管している人が多い。
モディ首相による紙幣の流通停止は、腐敗に加え、税務当局が把握していない「ブラックマネー」対策の一環とされている。政府は戸惑う市民らに対し、今回の施策で不利益を被るのは脱税者のみだとして、不安を抱かないよう呼び掛けている。(c)AFP