【11月10日 AFP】昨年11月にフランスの首都パリ(Paris)、今年3月にベルギーの首都ブリュッセル(Brussels)で多数の死者が出た同時攻撃の実行犯グループが、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の「上層部の幹部」から指令を受けていたことが分かった。ベルギーの検察官が9日、明らかにした。

 フレデリク・ファン・リーウ(Frederic van Leeuw)検察官は、ブリュッセルで行われたAFPとのインタビューで、「(同時攻撃の)指令がISから出されていたことは分かっている。しかも極めて上層部に位置する幹部レベルからのものだった」と述べた。

 ISは昨年11月13日にパリで130人が死亡した同時攻撃と、今年3月22日にブリュッセルの空港と地下鉄駅で32人が死亡した自爆攻撃について犯行声明を出していた。

 ファン・リーウ検察官は、IS司令部が米国が支援する空爆を回避するため、ISの最高指導者アブバクル・バグダディ(Abu Bakr al-Baghdadi)容疑者がカリフ制国家樹立を宣言したシリアやイラクの支配地域で複数の拠点を転々とし、同容疑者もしばらくイラク北部のモスル(Mosul)に滞在し、シリアのラッカ(Raqa)にいたことも明らかにした。

 しかし、パリとブリュッセルの事件については、具体的に誰が命じたのか、シリアやイラクにあるISの拠点から指令が出されていたのかどうかについては詳細を明らかにしなかった。

 一方でファン・リーウ検察官は2つの同時攻撃について、フランスとベルギーの国籍を持つイスラム過激派が集まった同じ集団によって行われたものであると指摘し、「後方支援を行っていた人間が次の同時攻撃では実行犯になった」との見方を示した。

 フランスの情報筋は8日、AFPに対し、同国の捜査当局は、モロッコとベルギーの二重国籍を持つイスラム過激派、ウサマ・アタル(Oussama Atar)容疑者がパリとブリュッセルで発生した同時攻撃の「取りまとめ役」だったことを特定したと明らかにした。(c)AFP/Lachlan CARMICHAEL