気候変動が世界の異常気象に拍車、国連報告書
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【11月9日 AFP】気候変動の影響で、死者が出る規模の熱波やハリケーン、干ばつや洪水などが近年、その激しさと発生頻度をますます増大させているとする報告書を、国連(UN)の世界気象機関(WMO)が8日発表した。
モロッコ・マラケシュ(Marrakesh)で開催の国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)第22回締約国会議(COP22)に合わせて発表された報告書は、2011~15年に発生した重大な異常気象事象の50%以上が人為的な地球温暖化の明白で顕著な特徴を示すものだったと指摘している。
5年間の世界平均気温で見ると、最近の5年間は記録史上最も高くなっており、14年と15年には年平均気温が観測史上最高を更新した。
これらの空前の高い温度と海面上昇の相乗作用が、大気の温度と湿度の上昇ですでに増幅されていた嵐の破壊力をさらに増加させたと、報告書は説明している。
WMOのペッテリ・ターラス(Petteri Taalas)事務局長は、気候変動により「熱波、干ばつ、記録的な豪雨、被害をもたらす洪水などの異常気象のリスクが上昇している」と声明で述べた。
WMOの試算によると、11~15年の期間に気候変動のために激化した大災害で約30万人が命を落としたという。気候変動の打撃を受けたことによる死亡者の大半は、10~12年の東アフリカでの干ばつの間に発生した。
この他、13年にフィリピンに上陸した超大型台風30号(アジア名:ハイエン、Haiyan)や、15年にインドとパキスタンで起きた熱波などでも多数の死者が出た。
経済的な損失額も増大している。中でも被害額が大きかったのは11年に東南アジアで発生した洪水と、12年に米東海岸を襲った大型ハリケーン「サンディ(Sandy)」で、合計被害額は1000億ドル(約10兆5000億円)以上に及んだ。
15年は気候に関する恐ろしい記録が数多く打ち立てられた年だとWMOは指摘している。
中でも特に恐ろしいのは、陸地と海洋を合わせた世界の平均表面温度が、産業革命前の基準値より初めて1度上昇したことだ。(c)AFP/Marlowe HOOD