【11月8日 AFP】2014年に香港(Hong Kong)の高級マンションの一室から20代のインドネシア人女性2人の遺体が見つかった事件の裁判で8日、英国人の元証券トレーダー、ルリク・ジャティング(Rurik Jutting)被告(31)に終身刑が言い渡された。

 英国の名門大学ケンブリッジ大(University of Cambridge)卒のジャティング被告は、インドネシア人女性スマルティ・ニンシ(Sumarti Ningsih)さんとセナン・ムジアシ(Seneng Mujiasih)さんの殺害について、 刑事責任能力が十全ではなかったとして無罪を主張していたが、香港の高等法院(高等裁判所)の陪審団は全員一致で有罪の評決を下した。香港では殺人罪に対する刑罰は終身刑のみとなる。

 マイケル・スチュアートムーア(Michael Stuart-Moore)判事は「香港の裁判所へ持ち込まれた殺人事件の中で最も身の毛のよだつ事件の一つに数えられる」と述べ、ジャティング被告の行動は「極めておぞましく、通常の人間の想像を超えている」と表現した。ジャティング被告はほとんど感情を表に出さず、大きく息を吐いて退席した。

 10日間にわたった公判では、被告がレイプや服従、拷問などの妄想にとりつかれるようになり、最初の被害者のニンシさんに対し、そうした妄想を実行し尽くしたことが語られた。被告はコカインとアルコールを摂取した上で、ニンシさんを3日間にわたって拷問し、その一部を自分のスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」で撮影していた。陪審団はこの映像を見なければならなかった。

 ニンシさんの遺体は数日後に殺害されたムジアシさんの遺体とともに、警察に自ら通報した被告の部屋で発見された。(c)AFP