仏で最も優れた村のビストロ、選ばれた店のシェフは英国人
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【11月8日 AFP】フランス中部の山岳地帯カンタル(Cantal)県の辺境の村で英国人シェフがほぼ一人で切り盛りする小さな店が7日、国内で最も影響力のあるレストランガイド「ル・フーディング(Le Fooding)」が選出する最も優れた村のビストロに選ばれた。
英マンチェスター(Manchester)出身のクリス・ライト(Chris Wright)さん(44)は今年6月、店舗とカフェ、レストランを兼ねた「エピスリー・ド・ディエンヌ(Epicerie de Dienne)」をオープンした。村の人口は200人にも満たないため、店が混み合うことなど予期していなかった。
AFPの取材に応じたライトさんは、「控えめなものにしたかった」と打ち明けた。パリ(Paris)で営んでいた小さいながらも人々に愛されたビストロ「ル・タンブル(Le Timbre)」では、10年以上にわたって昼夜を問わず調理も給仕もこなしたため、ペースダウンしたかったという。
「そうした観点から見ると、ちょっとした災難ですね」とライトさん。「おいしいハムやチーズを味わえる、静かで小ぢんまりとした場所でのんびりやっていこうと思っていたのに失敗した」と笑った。
村が位置するオーべルニュ火山地帯地方自然公園(Auvergne Volcanoes Regional Park)の周辺では、すぐに店の評判が広まり、英国人シェフに興味を持った地元住民らが押し寄せている。
この村には店をオープンする前から8年ほど通っていたこともあり、大勢の地元住民とは以前から顔見知りだったという。村の人々も近隣で採れる食材も気に入っているというライトさんは、「他の人たちはたぶん(英国人の)私がサンドイッチ以外は作れないと思っただろう」と話す。
店は2月のホリデーシーズンを除いて冬季は休業し、5~10月は営業する予定だという。
この地にやって来たときに求めていた穏やかな生活が送れているかというと、「そうでもない」とライトさんは冗談めかして言った。「でも後悔はしてません。ここが大好きなんです」(c)AFP/Fiachra GIBBONS