【11月8日 AFP】米大統領選の期日前投票で黒人およびヒスパニック系有権者の投票率が急増しており、マイノリティー(少数派)の積極的な投票行動の影響で、共和党候補のドナルド・トランプ(Donald Trump)氏にとってホワイトハウス(White House)への道は険しいものとなるかもしれない。

■激戦区フロリダ州、カギを握るヒスパニック系

 激戦区フロリダ(Florida)州で大きなカギを握っているヒスパニック系はおおむね、民主党候補のヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)前国務長官の支持に回っているとみられている。特にトランプ氏がメキシコ人を「レイプ犯」と呼び、メキシコとの国境に壁を建設し、滞在資格を持たない多数の移民を強制送還する方針を公約に掲げて以来、その傾向は強まった。

 マイノリティー有権者からは、今回の投票はクリントン氏支持を意味するだけではなく、トランプ氏不支持を意味するものだという声も聞こえる。

 同州マイアミ(Miami)市カトラーベイ(Cutler Bay)の期日前投票所の前では、スピーカーからゴスペルやR&Bといった音楽が流れ、香ばしい煙が立ち上るバーベキュー・ブースの前に行列ができていた。ここで民主党のチラシを配っていたイネス・クルベロさん(57)は自らを「アフロ・キューバ系」と称し、こう語った。「トランプが勝つことは恐怖。彼は政治も、人種間の関係も、女性たちによる職場での平等の闘いも、全てをすっかり後戻りさせてしまうでしょう」と語った。

 投票率を調査しているフロリダ大学(University of Florida)のダニエル・スミス(Daniel Smith)教授によれば、7日の時点でフロリダ州の全有権者640万人のうちこれまでに100万人近いヒスパニック系が投票を済ませている。また、郵便投票ではなく有権者が投票所に足を運んだ期日前投票に限っていえば、前回2012年の大統領選の2倍に達しているという。ヒスパニック系の関心の高さを示すもう一つの兆候は、今回の大統領選で期日前投票を行ったヒスパニック系の36%が、前回の大統領選では全く投票していない点だ。

 この他、ネバダ(Nevada)州などでもヒスパニック系の期日前投票率は高くなっている。米調査機関ピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)によれば、全米の有権者のうちヒスパニック系は2730万人で約12%を占めている。