【11月8日 AFP】米大統領選の投票日を翌日に控えた7日、民主党候補のヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)前国務長官(69)と共和党候補のドナルド・トランプ(Donald Trump)氏(70)は、勝敗を左右する各激戦州を巡る怒濤(どとう)の選挙戦最終日を開始した。

 クリントン氏はわずかなリードを揺らぎないものにするため、激戦区であるペンシルベニア(Pennsylvania)、ミシガン(Michigan)、ノースカロライナ(North Carolina)の3州を訪れる。クリントン氏が回れなかった場所はバラク・オバマ(Barack Obama)現大統領がカバーし、両氏はペンシルベニア州フィラデルフィア(Philadelphia)で合流し、最後の訴えを行う予定。

 対するトランプ氏は、絶対に勝利したいフロリダ(Florida)州を皮切りに、ノースカロライナ、ペンシルベニア、ニューハンプシャー(New Hampshire)、ミシガン(Michigan)の5激戦州を遊説する。

 トランプ陣営にとって最も望みが持てる勝利への道は、民主党が強固な支持基盤を築いてきたミシガンなど北部工業州に食い込むシナリオだ。トランプ氏も、そしてクリントン・オバマ両氏も、同域で最後の力を振り絞る意向だ。

 政治情報サイトのリアルクリア・ポリティクス(RealClear Politics)がまとめた世論調査結果の平均によると、7日の時点で第3党候補を含む支持率はクリントン氏がトランプ氏にわずか2.2ポイントリードしている。

 しかし米メディア各社は、選挙人獲得数を計算した場合、クリントン氏がトランプ氏に大勝、または堅実な勝利をあげると予想している。有力な選挙予測ウェブサイト「ファイブサーティーエイト(FiveThirtyEight)」は、当選に必要な選挙人270人の票を獲得する可能性は、クリントン氏が2対1でトランプ氏に勝ると見込んでいる。

 国務長官時代の公務に私用メールを使った問題で連邦捜査局(FBI)による捜査が取り沙汰されていたクリントン氏は6日、ジェームズ・コミー(James Comey)長官がクリントン氏による不正行為は見つからなかったと発表したことで追い風を受けた。しかし、クリントン陣営への打撃は取り返しがつかない状態にある可能性もある。

 コミー長官はこの8日前の先月28日、クリントン氏のメール問題での捜査を再開するという爆弾発表を行ったことで、クリントン氏の支持率は低下し、トランプ氏との差を縮めていた。

 これはトランプ氏にとって、女性への性的暴行疑惑で失った支持を回復する思わぬチャンスとなり、大統領選は大混戦の様相を強めている。(c)AFP/Jim MANNION