CETAの是非めぐり国民投票を、署名19万人超える オランダ
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【11月6日 AFP】オランダの活動家らが5日、欧州連合(EU)とカナダが締結を目指す包括的経済貿易協定(CETA)に関する国民投票の実施を求めるのに必要な数の3分の2近い、19万人以上の署名を集めたと発表した。CETAにとって新たな障害になる可能性もある。
7年にわたる交渉でまとめられたCETAは、直前になってベルギーの一部地域が反対したため崩壊の危機に見舞われたが、先週末にベルギーの首都ブリュッセル(Brussels)で調印にこぎつけた。今後はEU加盟各国が批准する必要がある。
オランダでは複数の市民団体が、CETAとEU・米国間の自由貿易協定「環大西洋貿易投資パートナーシップ(TTIP)」をオランダ政府が批准することの是非を問う国民投票の実施を求めている。2015年10月に始まった署名運動でこれまでに19万400人の署名が集まった。30万人の署名が集まれば政府は国民投票を実施しなければならない。
市民団体メーア・デモクラシー(Meer Democratie 「もっと民主主義を」の意)のニースコ・ドゥッベルブーア(Niesco Dubbelboer)氏はAFPに対し、「私たちの見るところ、TTIPとCETAはもっとオープンに議論して抜本的に修正する必要がある。このことを政治家たちにはっきりと示したい」と述べた。
ドゥッベルブーア氏は、このような協定は大口投資家や大企業の利益ばかりが優先される、植民地主義の影響を受けた時代遅れの代物だとして、交渉では気候変動や持続可能性のことについてもっと話し合うべきだと述べた。
メーア・デモクラシーは、環境保護団体のミリューデフェンシー(Milieudefensie 「環境防衛団」の意)、食品分野の消費者団体フードウォッチ(Foodwatch)、NPO(非営利団体)の「トランスナショナル・インスティテュート(Transnational Institute)」と協力している。
オランダでは今年4月の国民投票でEU・ウクライナ間の連合協定への反対が多数を占めた。連合協定を批准していない国はオランダだけとなっており、マルク・ルッテ(Mark Rutte)首相は妥協点を見つけるべく苦心している。
「ブレグジット(Brexit、英国のEU離脱)」をめぐる英国での国民投票の数か月後に実施された4月の国民投票はオランダのEU懐疑派が主導したもので、多くの人がEUに対する打撃だと捉えている。
メーア・デモクラシーのドゥッベルブーア氏はAFPに自分たちは反EUの立場ではないと述べたうえで「しかし私は、欧州はもっと民主的になるべきだと心から思っている」と語った。
CETAに関する国民投票が行われるとしてもそれは何か月も先のことだ。30万人の署名を集められたとしても、国民投票の実施はオランダで来年3月に予定されている総選挙後になる見通しだ。(c)AFP