【11月4日 AFP】ボクシングで8階級制覇を達成したマニー・パッキャオ(Manny Pacquiao)は、引退とは言い難い7か月間に及ぶ空白の時間を経て、自身のボクシングに対する情熱を見つめ直したようだ。

 5日に米ラスベガス(Las Vegas)で行われるジェシー・バルガス(Jessie Vargas、米国)との対戦を控え、最終調整に入っているパッキャオは、「もう一度、皆様にお会いするとは思いもしなかったが、私はまたこうして旅を続けている」と語った。

「バルガスと彼のチームを尊敬している。彼らは覚悟が決まっている。私には彼が今感じていることがわかる。なぜなら、自分が27、28歳だった時、どれだけハングリーだったか覚えているからだ」

 8階級制覇というパッキャオの偉業に関しては、トレーナーを務めるフレディ・ローチ(Freddie Roach)氏も、彼が生きているうちは破られないだろうと言う。

 パッキャオ自身は、「世界タイトルを8階級で制するのは、そんなに簡単ではない」としたうえで、「そうした戦いに勝利し、ボクシングの歴史の一部になれたことに感謝している」と話した。

「自慢しているわけではない。私はただ、歴史の一端になれてうれしいんだ」

 パッキャオは、自身が最後になるだろうと公言していた4月のティモシー・ブラッドリー(Timothy Bradley、米国)戦では素晴らしいボクシングを見せた。多くの人が予想するように、もしパッキャオがWBO世界ウエルター級王者のバルガスに勝利すれば、来年には無敗のテレンス・クロフォード(Terence Crawford、米国)との対戦が検討されるかもしれない。

■「二足のわらじ」

 パッキャオが1日14時間かけてボクサーと政治家の両立ができていることを考えれば、彼が高いレベルで今後も競技を続けられるという考えにもうなずける。

 二足のわらじを履くパッキャオの一日は、朝7時のランニングから始まり、会議のため10時には議会に到着。その後、午後の仕事を夕方5時まで行うと、そこからジムに向かい、夜の9時までトレーニングにはげむ。

 パッキャオは仕事の両立について、「事務所では議員として働き、いざトレーニングとなるとボクサーになるの簡単ではない。難しいが、自分自身がそれに満足し、楽しんでいる限りは良いことだ」と口にする。

「今回のファイトに向けた準備で考えていたのは、体調を確実に整え、オフィスで働きながらも、しっかりとトレーニングを積むことだった」

 対戦相手となる27歳のバルガスは、パッキャオよりも10歳年下であることに加え、身長では約13センチ、リーチでも約10センチのアドバンテージがある。

「素晴らしい合宿を送れた。これまでで最高の仕上がりだ。私にベストの状態をもたらしてくれたチームには満足している」とコメントしたバルガスは、2012年にパッキャオにKO勝利したファン・マヌエル・マルケス(Juan Manuel Marquez、メキシコ)のように、ガードを低くした打ち合いを期待している。

「こっちには力強いフックと右がある。両サイドからだ。左と右、彼がどちらに入ってこようが打ちのめす」

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