【11月25日 AFP】ペルーの首都リマ(Lima)にある同国最大の動物園「ラス・レジェンダス公園(Park of Legends)」では、のんびりと歩き回るライオンやトラ、クマなどを横目に、忙しそうに地面を掘り起こしている人たちの姿がある。彼らは、動物園では飼育されていない、ある別の動物の骨を探している考古学者だ。

 この動物園の敷地内からは、ささげ物として埋葬された古代の犬が多数見つかっている。これらの犬は、約1000年前の埋葬儀式で当時の戦士らと共に葬られたと考えられている。

 植物園も併設するこの動植物が開園したのは1964年。それよりはるか昔、ここは少なくとも3つの古代文明にとって神聖なる場所とされていた。リマ文化(西暦100~650年)、イチマ(Ichma)文化(900~1470年)、そしてインカ(Inca)帝国(1200~1500年)だ。

 当時、動物をいけにえにする際には、喉をかき切ったり首を絞めたりしていたと考えられている。そして、イチマの時代にささげ物にされた犬たちには、首にひもが巻かれた状態で見つかることが多い。今回見つかった犬たちには、被毛が当時のまま残っていた。

 すぐ近くに葬られていた人々が戦士だったと推測されるのは、頭蓋骨や肋骨(ろっこつ)に激しい損傷が認められることが多いためだという。

 同園で考古学課を統括するルセニダ・カリオン・ソテロ(Lucenida Carrion Sotelo)氏は、「あらゆる証拠から、他の社会グループとの抗争で死亡したことが見受けられる」と述べた。

 また、犬の骨をめぐっては、必ず「眠っているような格好で」納められているとしながら、「イチマ文化では、犬をささげることが恐らく戦士の弔いの儀式の一部だったのだろう」と説明した。