【11月3日 AFP】人類がオーストラリア内陸部で定住を始めた時期は、これまで考えられていたより1万年早いとする研究論文が2日、発表された。豪州大陸の人里離れた奥地にある岩窟住居内で見つかった数千個の人工遺物と骨に基づく結果だという。

 人類が豪州に到達したのは、今から約5万年前と考えられている。だが、内陸部の乾燥地帯に定住した時期や、道具の使用、古代動物との接触などについては、これまで議論が分かれていた。

 豪ラトローブ大学(La Trobe University)などの研究チームによると、豪サウスオーストラリア(South Australia)州の州都アデレード(Adelaide)から450キロ離れたフリンダース山脈(Flinders Ranges)での今回の発見は、4万9000年前~4万6000年前の時期に、人類がその地に居住していたことを示しているという。

 英科学誌ネイチャー(Nature)に発表された研究論文は、「南部内陸部にあるワラティ(Warratyi)岩窟住居で収集されたのは、(およそ4万9000年前という)これまで伝えられていたよりも(1万年)早い時期までに、人類が豪州の乾燥地帯に居住していたことを示す証拠だ」と述べている。

 また、堆積物の地層から採取された遺物は、骨角器(4万年~3万8000年前)や、赭土(しゃど)のような顔料(4万9000年~4万6000年前)などの技術が当時、使用されていたことを示していた。これは、豪州で知られている最古の使用例だ。

 今回の研究を率いたラトローブ大の考古学者、ジャイルズ・ハム(Giles Hamm)氏は、記者団に「これは、豪州沿岸部におけるこれまでの研究を補完するもので、4万5000~5万年前という年代の境界に適合している」と語った。

「これまでと異なる点は、これが大陸内の最南にある最古の遺跡であることだ。これは、彼らが大陸の周囲と内陸部を非常に速やかに移動していることを示している」

「人類が5万(年前)の時点で流入しているとすると、それはおそらく、あらゆる方向に人々が移動していたことを意味すると思われる。今回の研究では、この疑問への追加のデータとなり得る遺伝学的証拠が新たにいくつか得られている」

 今回の研究では、4300点に上る人工遺物と、総重量3キロの骨、赭土、植物片などが採取された。

 採取された大量の骨は、史上最大の有袋類ディプロトドン(学名:Diprotodon optatum)のものと特定された。また同時に見つかった卵の殻は、絶滅した巨大鳥に関連するものだった。これは、人間と古代動物との間に接触があったことを示唆していると、豪フリンダース大学(Flinders University)の大型動物相の専門家、ギャビン・プリドー(Gavin Prideaux)氏は指摘する。

「人間がこれらの動物と同地域で生活し、動物を狩猟していたことは明白だ。人間とこれらの動物との間に接触はなかったとする一部の説は、これで葬り去られる」と、プリドー氏は付け加えた。(c)AFP