【11月9日 AFP】スカッシュ界の伝説、ジャハンギール・カーン(Jahangir Khan、パキスタン)氏は555連勝という偉業を持つが、同選手の記録はもっと少ないものだったとする本が最近出版されたことで、輝かしい記録に疑惑が浮上している。

『ジャハンギール・カーン 555』の著者であるロッド・ギルモア(Rod Gilmour)氏とアラン・サッチャー(Alan Thatcher)氏は、1981年から1986年の5年半にわたる同選手の無敗記録を適切に残した人は存在しなかったと主張する。

 カーン氏の555連勝は現在、全スポーツ史上最長の無敗記録として残っているが、両氏が実施した調査によれば、問題となっている数字には「事実に誤り」があるという。

 ギルモア氏はプレスリリースで、「その頃は彼の試合に記録係のような人はいなかったし、当時の新聞からも数字が強調されることは一度もなかった」と語る。

「私たちは、(記録は)かなり低いものだったと信じている。とりわけ、(555勝を記録するためには)彼が5年にわたって年間20大会を世界で転戦しなくてはならなかったというのは、当時では考えられないことだ」

 しかしながら、カーン氏本人はエキシビションなどでの成績が考慮されていないとして、実際の勝利数は555よりも多かったと主張する。

 1981年から続いていた同氏の連勝は、1986年にフランス南部トゥールーズ(Toulouse)で行われた世界選手権のロス・ノーマン(Ross Norman)戦で終止符が打たれた。

 カーン氏は、「計算してみれば、もっと勝っていたことがわかるよ。私は招待試合やエキシビションなどにも出場した」と反論しているという。

「555という数字は、大会での試合に限られるべきだ。しかし、他の試合を含めれば600から700にもなるだろう。なぜなら、私はそれらの試合にも負けなかったからだ!」

 サッチャー氏は、仮にカーン氏が555勝を挙げていなかったとすれば、スポーツ界の最長連勝記録は車いすテニスで470連勝を記録したエスター・バーガー(Esther Vergeer、オランダ)氏の手に渡るという。同選手は2013年に現役を退いている。

 サッチャー氏は、「彼の5年半に及ぶ連勝については、まったく議論が起こっていない。この記録が塗り替えることは二度とないだろう」と話す。

「われわれが正確性のために解決したかった最後の数字だ。本当の数字? 言い当てるのは難しい。でも、500は下回っていただろう」

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