映画『鳥』の主演女優、ヒッチコック監督の性的暴行を自伝で暴露
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【11月1日 AFP】米女優ティッピ・ヘドレン(Tippi Hedren)さんが、このたび発売の自伝「Tippi: A Memoir」の中で、1960年代に英映画監督アルフレッド・ヒッチコック(Alfred Hitchcock)氏から、性的暴行および脅迫を受けたことを記していると、英米の複数紙が報じた。
ヘドレンさんはこれまでにも、ヒッチコック監督からのセクシュアルハラスメントについて言及しているが、自身が受けた扱いについて自らつづったのは今回が初めてだという。
ヒッチコック監督の1963年の名作『鳥(The Birds)』に主演して一躍有名になったヘドレンさんだが、長期の専属契約を結んだ直後から、同監督から執拗に迫られるようになったとされている。
事前に本の内容を確認した米紙ニューヨーク・ポスト(New York Post)と英紙デーリー・メール(Daily Mail)によると、自伝には、ヒッチコック監督が他の共演者らに対し、ヘドレンさんに近づかないよう指示したことや、ヘドレンさんが他の男性と話しているところを見て激怒したことなどが記されている。
両紙が伝えたところによると、ヒッチコック監督はリムジンの後部座席でヘドレンさんに覆いかぶさってキスしようとしたり、撮影セットの隅で身体的な接触を求めたりしたのだという。またヘドレンさんは、「(自分が1人でいるといつも)彼(ヒッチコック監督)はなんらかの方法で私に夢中であることを示そうとした。まるでそれに応じるよう強要されているみたいだった」とも記しているという。
1980年に死去したヒッチコック監督は、ヘドレンさんに対する感情を常に示していたが、ヘドレンさんが距離を置くようになると次第に攻撃的になった。ヘドレンさんは、トラウマとなったある乱暴な行為についても書きつづっている。「これについては、今まで詳しく語ったことはないし、これからも語るつもりはない。言えるのは、彼が突然私をつかみ、両手を押し付けたということだけ」「それは性的で、いやらしく、醜かった」
ニューヨーク・ポストによると、当時「セクシュアルハラスメントやストーキングといった言葉は存在しなかった」ため、ヘドレンさんはこうした出来事を誰にも話さなかったのだという。
ヘドレンさんの抵抗に不満を募らせたヒッチコック監督は、ヘドレンさんのキャリアを台無しにすると脅し、米大手映画会社ユニバーサル(Universal)がヘドレンさんをオスカー候補に推薦しようとした際に阻止したとされている。
自伝には、「それ以来、ヒッチコックにキャリアを台無しにされても、私の人生を台無しにする力は決して与えないようにすることが、私の使命となった」とヘドレンさんの決意の言葉が記されているという。(c)AFP