魚売りの男性がごみ収集車に巻き込まれ死亡、モロッコ全土に怒り
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【10月31日 AFP】北アフリカのモロッコで、魚を売っていた男性がごみ収集車に巻き込まれて死亡したことから、全国に怒りの渦が広がっている。報道によると死亡した男性は当時、売り物の魚を押収・廃棄処分しようとする地元当局者に抵抗していたとされ、30日に行われた男性の葬儀には数千人が集まった。
ムフシン・フィクリ(Mouhcine Fikri)さん(31)は28日、少数民族のベルベル系リフ人(Berber Rif)が多く住むモロッコ北部のアルホセイマ(Al Hoceima)で、地元当局者から売り物の魚を守ろうとしていたときにごみ収集車に巻き込まれ死亡したとされる。
ごみ収集車の粉砕機に巻き込まれたフィクリさんの痛ましい遺体の写真は、ソーシャルメディアで広く共有され、首都ラバト(Rabat)を含むモロッコ全土で抗議を呼び掛ける声が上がった。
インターネット上に公開された動画には、30日にアルホセイマの市内を走るフィクリさんの遺体を乗せた黄色い救急車の後ろを数千人が練り歩く様子が映っている。葬儀ではベルベル人の旗を振る人の姿も見られた。
モハメド・ハサド(Mohamed Hassad)内相は今回の一件を非難し、捜査を行って「悲劇が起きた正確な状況を究明し、責任のある者を処罰する」と約束した。
NGO「モロッコ人権協会(AMDH)」はAFPの取材に、地元当局がフィクリさんに対し、複数の箱に入った売り物のメカジキを処分するよう強要していたと語った。フィクリさんは「魚がごみ収集車の中で粉砕された後、自ら粉砕機に向かって身を投げた」という。現地ではメカジキの流し網漁は禁止されている。
モロッコでは11月7日から国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)第22回締約国会議(COP22)が行われる。(c)AFP