【10月31日 AFP】欧州連合(EU)とカナダは30日、7年にわたって交渉してきた自由貿易協定(FTA)に署名した。協定は直前になってベルギーの一部地域が反対し崩壊する恐れが出ていたが、何とか成立にこぎ着けた。EU・カナダ間の関税の99%を徹廃し、5億人余りの人口を持つEU28か国の単一市場と世界10位のカナダ経済の結び付きを促進する。

 カナダのジャスティン・トルドー(Justin Trudeau)首相とEUの首脳がベルギーの首都ブリュッセル(Brussels)で署名したのは「包括的経済貿易協定(CETA)」。
トルドー首相は署名後、「この素晴らしい協定を前進させていく」と表明した。

 欧州理事会(European Council)のドナルド・トゥスク(Donald Tusk)常任議長(EU大統領)は交渉で必要とされた忍耐を木にたとえ、「その根は苦かったが実はとても甘い」と指摘。ベルギー南部ワロン(Wallonia)地域が土壇場で署名に反対を表明したことや英国が国民投票でEUからの離脱を決めたことを踏まえ、「今回の署名は西側諸国の分断が永続的な傾向になる必要がないことを示している」と強調した。

 ただ署名式の会場となったEU本部の外では、協定に反対するデモ隊が機動隊の規制を突破し建物に赤いペンキを投げつける騒ぎも起きた。(c)AFP/Danny KEMP