【10月30日 AFP】韓国の朴槿恵(パク・クネ、Park Geun-Hye)大統領の親友の民間人女性で、国政介入などの疑惑の中心人物である崔順実(チェ・スンシル、Choi Soon-Sil)氏(60)が30日朝に帰国した。

 朴大統領の任期は2018年2月までだが、公職に就いておらず機密情報を取り扱う権限もない友人に国政について相談し、助言を仰いだ疑惑が明るみになったことで、政権は突如、窮地に立たされている。

 崔氏は9月初旬からドイツに滞在していたが、30日朝に英ロンドン(London)から飛行機で帰国したと、同氏の弁護士が記者団に明らかにした。

 弁護士は、「崔氏は捜査に積極的に協力すると述べ、国民を失望させ、不満を抱かせたことに対して深い謝罪の意を示した」と述べた。

 崔氏が朴大統領を裏で操っていたと見られることに国民からは不満の声が高まっている。崔氏はまた、朴大統領との関係を利用してサムスン電子(Samsung Electronics)など大手企業に自身が設立した2つの財団に対して多額の寄付をさせたとの疑惑が掛けられている。

 崔氏の父親は宗教家の故崔太敏(チェ・テミン、Choi Tae-Min)氏。結婚を6回し、いくつもの偽名を使い、「大韓救国宣教団(Church of Eternal Life)」という宗教団体を創設した人物だ。

 太敏氏は、1974年に母親が暗殺されて心に傷を負っていた朴氏を支え、それがきっかけで両者は親しくなった。太敏氏は、朴氏の母親が自分の夢に現れて娘を支えるように告げたと述べている。

 それ以降、朴氏は太敏氏を師と仰ぎ、1994年に太敏氏が死亡した後は娘の順実氏と緊密な関係を築いた。順実氏の元夫は、朴氏が2012年に大統領選で勝利するまで朴氏の側近を務めていた。(c)AFP/Hwang Sunghee