トランスジェンダーのトイレ使用、米最高裁「来年6月までに判断」
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【10月29日 AFP】米最高裁は28日、トランスジェンダー(性別越境者)の人々が男性用・女性用どちらのトイレを使うべきかについて、来年6月までに判断を下すと発表した。
米国では、女性として生まれたが今は自分を男性だと認識しているガビン・グリム(Gavin Grimm)君(17)が、自分の通うバージニア(Virginia)州グロスター(Gloucester)郡の高校での、男性用トイレの使用を認めてもらうことを求めて訴訟を起こしたことなどから、トランスジェンダーのトイレ使用に関して激しい論争が起きている。
バラク・オバマ(Barack Obama)大統領率いる米政権は、全米の公立学校では生徒・学生に、自らが認識する性別に基づいたトイレやロッカールームの使用を認めるべきだとの見解を示している。だが、野党・共和党が優勢の十数州では、この方針に反対し、連邦政府を相手取る訴訟も起きている。保守派の中には、政府の指針は各州の学校に対する不適切な干渉であり、行政権の乱用だとの見方がある。オバマ政権の見解への反対派は理由として、宗教的価値観や安全の問題、プライバシーの問題などを挙げており、インターネット上や集会では「女性用トイレに男性お断り」というスローガンを掲げている。
反対派の先鋒(せんぽう)、ノースカロライナ(North Carolina)州では、トランスジェンダーの人々に対し出生証明書に記載されている性別に合わせたトイレを使用するよう義務づける法律が成立したが、この法律は差別的だとの声が与党・民主党や市民社会、実業界、スポーツ界からあがっている。
米最高裁は9人の判事で構成されるが、今年2月にアントニン・スカリア(Antonin Scalia)判事が死去したことにより現在は空席がある。現在の判事は保守派4人、リベラル派4人のため、評決を行えば賛否が真っ二つに割れる可能性は高い。(c)AFP