【10月29日 AFP】ヘブライ語でエルサレム(Jerusalem)に言及した文書としては聖書以外で最も古いとしてイスラエル考古学庁(IAA)が26日に公開した紀元前7世紀のパピルス文書について、考古学者らが信ぴょう性に疑問を呈している。同国の日刊紙が28日、報じた。

 エルサレムをめぐっては、国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)が今月18日、イスラエルが東エルサレムにあるイスラム教の聖地「アルアクサ・モスク(Al-Aqsa Mosque)」へのイスラム教徒の立ち入りを制限していると批判する決議を採択。これに対しイスラエルは、決議の中で聖地のユダヤ名に言及していないことに反発し、ユダヤ教とこの地の歴史的な結び付きを否定するものだと非難していた。

 イスラエル・テルアビブ(Tel Aviv)にあるバルイラン大(Bar-Ilan University)のアレン・マイヤー(Aren Maier)教授(考古学)は28日付の同国の日刊紙ハーレツ(Haaretz)に寄せたコメントの中で、「古美術品市場を狙った偽物ではないとどうして分かる?」と指摘した。

 マイヤー氏は27日、「古代紙に文字を書き加えて偽造するという事例」が広く知られていることを考慮すると、放射性炭素年代測定法は文書の年代測定には不十分だとも指摘。「パピルスだけが古代のものである可能性も大いにある」と述べた。

 米首都ワシントン(Washington D.C.)のジョージ・ワシントン大学(George Washington University)のクリストファー・ロルストン(Christopher Rollston)准教授(北西セム語・北西セム文学)も疑問の声を上げている。

 ロルストン氏は26日に投稿したブログの中で「古代のパピルスはオンラインでいとも簡単に購入できる」「現代のパピルスに文字を書き加えて偽造するようなプロの偽造者などいまどきいない」と指摘している。

 一方、エルサレムにあるイスラエル・ヘブライ大学(Hebrew University)のシュムエル・アヒトゥブ(Shmuel Ahituv)教授は同文書の信ぴょう性を擁護。文書の中で使われている言葉が非常に珍しいと指摘し、「私が偽造者だったら、もっと印象的なテキストを選ぶ」と述べた。(c)AFP