【10月29日 AFP】イラクの少数派ヤジディー(Yazidi)教徒で、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」に2年近く性奴隷として拘束された末、脱出に成功したラミア・アジ・バシャル(Lamia Haji Bashar)さん(18)が28日、AFPの取材に応じ、いつの日かヤジディー教徒の「声」になりたいという思いが、悪夢のような体験を切り抜ける原動力になったと語った。

 バシャルさんは前日の27日、欧州連合(EU)の欧州議会(European Parliament)による権威ある人権賞「サハロフ賞(Sakharov Prize)」を、同じくヤジディー教徒でISの奴隷として拘束されていたナディア・ムラド(Nadia Murad)さんと共同で授与されることが発表された。

 ドイツで治療を受けているバシャルさんはAFPのインタビューに通訳を介してクルド語で応じ、自分に対しレイプや拷問、人身売買を繰り返し行ったISからの逃亡を、長い間心に思い描いていたと語った。

「あの犯罪者たちから、そして女性や少女たちに起こっていることから逃げ出す方法を、常に目の前に思い浮かべていた」

「声を上げたい、そして全ての被害者の声となりたいという思いが、脱出への原動力となった」

 逃亡中、地雷により重度のやけどを負い、顔に深い傷を受けて片目を失ったバシャルさんは、サハロフ賞受賞の知らせが自分に力を与えたと語っている。

「人々が私の味方だと思えるようになったので、自分が以前よりも力強くなった気がする。私の取り組みに共感してくれる人が大勢いる」

 将来の夢は、教師と活動家になることだという。

 サハロフ賞授賞式は12月14日にフランス・ストラスブール(Strasbourg)で行われ、バシャルさんとムラドさんは賞金5万ユーロ(約580万円)を受け取る予定。(c)AFP