「うそをつくほど平気に」、不正直に脳が適応 研究
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【10月25日 AFP】税金のごまかしや、恋人への裏切りなど何であれ、小さなうそをつくと、それがエスカレートして大きなうそに発展しやすくなるとの研究結果が24日、発表された。
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英科学誌「ネイチャー・ニューロサイエンス(Nature Neuroscience)」に掲載された論文はまた、うそを重ねるとともに、脳に表れる感情的な反応が徐々に弱くなるともしている。
生化学的な関係は非常に強く、繰り返しうそをつく実験では、前回うそをついた人の脳スキャンデータを調べるだけで、次にどれほど大きなうそをつこうとしているかが正確に予測できるという。
論文の主執筆者で、英ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ(UCL)実験心理学部の研究者のニール・ギャレット(Neil Garret)氏は「今回の研究は、不正直な行動が繰り返されると、その程度が増大することの初の実証的な証拠となっている」と述べた。
論文の執筆者らは、不正直な行為を思いとどまらせる社会規範や道徳があるにもかかわらず、人々がたわいのないうそから大ぼらを吹くようになるまでの仕組みを理解することは、学術研究にとどまらない興味を喚起するとしている。
論文の共同執筆者で、同じくロンドン大ユニバーシティー・カレッジのタリ・シャロット(Tali Sharot)氏は「不貞、スポーツのドーピング、科学データの改ざん、金融詐欺など(それが何であろうと)、人を欺いたことのある人は、その不正直な行為が雪だるま式に増大することを知っている」と指摘し、「彼らは知らず知らずのうちに、極めて大きな罪を犯してしまったのだ」と付け加えた。
今回の実験では、ボランティア被験者約80人に、中に入っている硬貨の量がそれぞれ異なるガラス瓶の高解像度写真を個別に見せ、中の金額を判定させた。
次に、離れた場所で同じガラス瓶の低解像度写真を見ているパートナーに、瓶の中にどの程度の金額が入っているかをコンピューターを通じて通知してもらった。
このパートナーは、実は研究チームと連携している俳優だったが、被験者らはそのことを知らされていなかった。
最初に行う実験では、うそをつかないようにするための奨励金を被験者らに与えた。ギャレット氏は、記者会見で「パートナーの推定額がより正確であるほど、両者が受け取れる奨励金が増えることを、被験者らに伝えた」と説明。これは、うそをつく奨励金を被験者らに与える別の実験シナリオに対する基準となった。
その他の実験では、故意のうそが結果的に、情報を伝える側の被験者と伝えられる側のパートナーの両方に利益をもたらし、また別の実験では、利己的なうそが、パートナーを犠牲にして成立するようになっていた。