【10月24日 AFP】ベトナム南部ドンナイ(Dong Nai)省で23日夜、薬物依存症リハビリ施設に収容されていた患者500人以上が脱走した。24日朝の時点で依然、300人が逃走したままで、警察が行方を追っている。

 ベトナム政府は薬物対策の一環として患者を国営のリハビリ施設に最長2年間、強制入所させると定めている。しかし人権団体などが劣悪な環境と非難するこれらリハビリ施設では脱走が相次いでいる。報道によると今回脱走が起きたリハビリ施設には、定員の2倍に当たる1500人が収容されていた。

 現地メディアの映像によると、コンクリート壁や窓、扉などを棒や消火器などを使って破壊し脱走した患者らが近くの道路に押し寄せ、地元自治体が近隣住民に鍵をかけて屋内にとどまるよう呼び掛ける事態となった。警察関係者によると、患者の多くはタクシーを拾って同省から去ってしまったとみられている。

 ヘロインの使用がまん延しているベトナムには全国で20万人の薬物依存症患者がおり、約1万3000人がリハビリ施設に入所している。一方、リハビリ施設からの脱走は、今年4月にも南部のバリア・ブンタウ(Ba Ria-Vung Tau)省で起きている。(c)AFP