【10月23日 AFP】(更新、写真追加)ソマリアの海賊が漁船を乗っ取り、同国の海賊による人質事件としては2番目の長さとなる5年近くもの間、乗組員らを拘束していた事件で、人質となっていたアジア人乗組員26人が解放され、23日にケニアに到着した。

 オマーン船籍の漁船「 ナハム3(Naham 3)」号の乗組員は2012年3月、インド洋の島しょ国セーシェルの南の沖合で拘束されて人質となった。

 人質の解放交渉に携わった支援組織「ホステージ・サポート・パートナーズ(HSP)」のジョン・スティード(John Steed)氏は、「今朝早くナハム3の乗組員が解放されたと発表できることをとてもにうれしく思う」と述べた。

 かつて英陸軍で大佐を務め、「忘れられた人質」の救出を使命としているスティード氏はAFPの取材に対して、乗組員を家族の元に帰すためにはまだ一つの障害があると話し、対立するガルムドゥグ(Galmudug)とプントランド(Puntland)の武装勢力の間で激しい戦闘が起きている中部ガルカイオ(Galkayo)から乗組員たちを出さなくてはいけないためだと説明した。

 人質となっていた乗組員はそれぞれカンボジア、中国、インドネシア、フィリピン、台湾、ベトナムの出身。海賊問題に取り組む米NGO「Oceans Beyond PiracyOBP)」によると、海賊に拘束された乗組員は当初29人だったが、襲撃の際に1人が死亡、さらに拘束中に2人が病気で死亡したという。(c)AFP/Fran BLANDY