【10月20日 AFP】紛争状態が続くアフリカ中部コンゴ民主共和国で、絶滅危惧種のゴリラの個体数が激減しており、今後5年以内に姿を消す恐れがあると警鐘を鳴らす研究結果が19日、発表された。

 米オンライン科学誌プロスワン(PLOS ONE)に掲載された論文によると、世界最大の霊長類であるグラウアーゴリラ(ヒガシローランドゴリラ、学名:Gorilla beringei graueri)は、野生に3800頭しか残されておらず、「壊滅的な減少」を示しているという。1996年に旧ザイールで内戦が勃発する前までは、1万7000頭近くが生息していた。同国は1997年にコンゴ民主共和国に改称した。

 論文の主執筆者で、米野生生物保全協会(WCS)のアンドリュー・プランプトリ(Andrew Plumptre)氏は「グラウアーゴリラが窮地に陥っていることは分かっていたが、どのくらい減少したかについては、誰も明確に把握していなかった」と述べる。約20年前に始まった紛争により、ゴリラの個体数調査が困難になっていたことがその背景にある。武装した鉱山労働者らによる食肉目的のゴリラの狩猟も増えたという。

 グラウアーゴリラは、9月に発表された国際自然保護連合(IUCN)の「レッドリスト(Red List、絶滅危惧種リスト)」に「絶滅危惧IA類」として記載されたヒガシゴリラ亜種のうちの一種だ。もう一方の亜種のマウンテンゴリラ(学名:Gorilla beringei)も徐々にその個体数を減らしている。

 グラウアーゴリラについて研究チームは、保護の取り組みを強化しなければ、5年以内に生息範囲の多くの地域から姿を消す可能性があると危惧を表明。保護地域内での鉱山採掘を中止させることや、軍隊に野生生物を保護させることなどが、戦略の一部として考えられると指摘した。(c)AFP