ボートの韓国開催案、現地関係者からは「まったくの予想外」と驚きの声
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【10月19日 AFP】2020年東京五輪のボート・カヌー会場の見直しに関連して、国際オリンピック委員会(IOC)が韓国開催も視野に入れていると伝えられた件について、韓国のスポーツ関係者からは驚きの声が上がっている。
日本の複数メディアは18日、膨れ上がる五輪開催費用の削減案の一つとして、IOCがボート・カヌー会場を韓国・忠州市(Chungju)に移すことも検討していると報じた。
同日には、東京都の小池百合子(Yuriko Koike)知事が五輪の規模縮小や会場の変更も含めた抜本的なコスト削減を検討するため、IOCのトーマス・バッハ(Thomas Bach)会長と都内で初めての会談を実施。それと時を同じくして、一部競技の韓国開催の可能性が報じられていた。
しかし、韓国で国際スポーツ大会を管轄する文化体育観光部の関係者は、IOCから韓国開催の打診はないと話し、「報道はまったくの予想外のことで、驚きました」とコメントした。
大韓体育会(KOC)も、韓国への変更案はまったくの初耳だと明かし、AFPに対して「しかし、IOCが本当に提案するつもりなら、候補会場にじかに接触するでしょう」と話した。
どちらの関係者についても、メディアに話すことを認められた立場にはないとの理由で、名前を明かす許可は取れなかった。
一方、忠州市庁で水上スポーツを担当するキム・ミュンギュ(Kim Myung-Gyu)氏は、今のところIOCから連絡はないと話しながらも、仮に打診があれば、五輪の競技を開催できる状態は十分以上に整っていると強調した。
「すでに設備は有しています。ですから我々に必要なのは、数か月の時間をいただいて、細かな調整を行うことだけです」
忠州市は、2013年のボート世界選手権(2013 World Rowing Championships)やリオデジャネイロ五輪のアジア・オセアニア予選など、近年ボートの主要国際大会を何度か開催してきた実績がある。
2020年夏季五輪の開催地となる東京都だが、3年前の2013年にマドリード(Madrid)、イスタンブール(Istanbul)との招致レースを制して以来、さまざまな問題が開催に向けた準備に暗い影を落としてきた。
メイン会場となる新国立競技場(New National Stadium Japan)については、2000億円以上に膨らんだ総工費に国民から怒りの声が噴出したことを受けて、安倍晋三(Shinzo Abe)首相が2015年7月に建設計画の白紙撤回を指示した。さらに同年9月には、大会エンブレムのデザイン盗用疑惑が指摘され、組織委員会は当初のエンブレムの使用中止を余儀なくされた。
そして今年5月、招致委員会がコンサルティング会社に2億円を支払ったことが、招致を成功させるための裏金だったのではないかとの疑惑が浮上し、フランスの検察が捜査に乗り出している。日本の五輪関係者はこれについて否定している。(c)AFP