【10月18日 AFP】英国を代表するベテラン動物学者のデービッド・アッテンボロー(David Attenborough)氏は17日、動物園で飼育されているゴリラのプライバシーを尊重するため、ゴリラの展示室の仕切りをガラスのパネルではなく、のぞき穴付きの壁にするよう呼びかけた。

 自然番組の制作・司会を長年手がけ、現在90歳のアッテンボロー氏は、英ロンドン動物園(London Zoo)で13日にゴリラが展示室から短時間脱走した騒ぎを受けてこの発言を行った。動物たちがプライバシーを侵害されているとすれば、こうした出来事が起きたのも「ほとんど驚くには当たらない」と、アッテンボロー氏は指摘する。

 また、動物園を訪れる人々は、動物たちを刺激して反応させようとふざけ回るのではなく、園内ではより節度ある振る舞いをするべきだと、アッテンボロー氏は訴えた。

 テレビ番組で半世紀以上にわたり、数百万人に及ぶ視聴者の目を自然界の驚異にくぎ付けにしてきたアッテンボロー氏は、マウンテンゴリラなどの絶滅の危機に直面している動物種の保存に、動物園が決定的な役割を果たしているとも述べた。

 アッテンボロー氏は、英ITVテレビに「ゴリラは驚くべき動物だ。彼らは自身のプライバシーを守る動物なのだ」と語った。

「ゴリラは西アフリカの森林では、公開された状態で暮らしてはいない。人々の目にさらされることもない」

「恐らく解決策として求められるのは、来園客が巨大なガラス板ではなく、のぞき穴を通して見学し、ゴリラが(人間から見られていることを)気付かないようにすることだと思われるが、何万もの人々がこれらの動物を見に来る動物園でこれを行うのは非常に困難だ」

「ゴリラは単なる動物ではない。人間に近い仲間なのだ。彼らは自身のプライバシーを大切にする。そこにいるとはどういうことかを想像してみてほしい」と、アッテンボロー氏は話した。(c)AFP