【10月17日 AFP】(訂正)現役のアダルトビデオ(AV)女優の香西咲(Saki Kouzai)さん(30)は、都内で芸能スカウトを名乗る男性に声を掛けられ、タレントにならないかと誘われたことがきっかけとなり、この業界に入った──。スターを夢見ていた当時24歳の彼女にとって、この声掛けは有名になるための「チケット」のように思えた。

 香西さんは、イメージビデオを作るという言葉を信じてプロダクションの契約にサインをした。だが、その会社はタレント・プロダクションなどではなく、撮影は最初からAVを撮る目的で行われた。

「なかなか脱ぐということができなくて。ただ泣くしかできず。周りで20人くらいの大人たちがせかすように構えて待っている。あの中で、女性1人で囲まれても、私じゃなくても断れない」

 今、業界の中から飛び出し、この世界に無理やり入れられたと明かす女性が増えている。香西さんもその一人だ。

 他国と比べて成人向けコンテンツに寛容といわれる日本で、AVは広く普及している。しかし、業界の見えにくい部分や、その中で働く人々の権利が語られることはほとんどない。

 今年6月、性行為を含むAVの撮影に女性を派遣したとされる東京のプロダクション会社社長ら3人が逮捕された。女性は100作品以上への出演を強いられたとしている。この女性も香西さん同様、最初はタレントの仕事に携わるものだと思っていたという。

 その後、女性たちが意思に反したAV出演を強要されている、時に暴力的な撮影もあるという問題が告発され、業界団体が異例の謝罪と改革を約束する事態に至った。

 報告書によると、AV業界のスカウトらは、芸能界でデビューできるなどと口約束をして、未成年者を含む若い女性たちを勧誘するという。中には、勧誘した少女たちを最初にぜいたく漬けにして、それでできた「借金」を払えと言ってAV作品に出演させる例もあるようだ。脅しや詐欺的な契約で、女性たちが逃げられないようにするというプロダクション側の手法なのだろう。