【10月15日 AFP】「3、2、1、発進!」。傾斜路から勢いよく飛び出した小型の羽をもつドローン(小型無人機)が、ブーンという音を立てながら、あらかじめ登録された目的地、2キロ離れたカブガイ(Kabgayi)の病院に向かって飛んでいく。

 14日、ルワンダでドローンの運用が開始された。出資者らは、アフリカ農村部の医療供給に革命的を起こすと期待を寄せている。手始めにルワンダ西部の21か所の診療所にドローンで配送されたのは輸血袋だ。

 世界保健機関(WHO)によれば、アフリカ諸国の妊産婦死亡率は世界で最も高い部類に入る。主な死因は分娩後の出血で、単純な輸血手段がないことによる。ルワンダも例外ではない。「千の丘の国」と呼ばれる高低差の激しい地形や強烈な雨期のせいで、陸路での血液の輸送は時間がかかり、困難を伴うことが多い。

 米カリフォルニア(California)州を拠点とするロボット工学企業、ジップライン(Zipline)の最高経営責任者(CEO)ケラー・リナウド(Keller Rinaudo)氏は、血液は「非常に貴重で、診療所ごとに大量に保管しておくことができない」と説明する。同社は今回のドローン15機と、首都キガリ(Kigali)西方50キロのムハンガ(Muhanga)にあるドローン格納施設の設計を手掛けた。

■15~30分以内に救命用血液を

 リナウド氏は、ジップラインのドローン配送システムを利用して「ルワンダ政府にどの国民の元へも15~30分以内に救命用血液を運べる」ようになってほしいと語る。

 同社によるこのプロジェクトには、米運送大手UPSと途上国の子どもたちへの予防接種を支援しているGAVIアライアンス(GAVI Alliance)が110万ドル(約1億1000万円)を投資している。

「ジップ(Zip)」と名付けられたドローンは丸みを帯びた小型飛行機。翼長2メートル、重量13キロ、バッテリー駆動式で飛行可能距離は約150キロ。最大積載量はおよそ1.5キロ、輸血袋3個分だ。最高時速は70キロで、ドローン1機につき1日150回の配送が可能とされている。(c)AFP/Stephanie AGLIETTI