【10月13日 AFP】国連(UN)は12日、アフリカ・南スーダンの一部地域で暴力行為が増加しているとして懸念を表明した。南スーダンではサルバ・キール(Salva Kiir)大統領(65)の死亡説が流布するなど国内の緊張が高まっており、政府が公式に大統領死亡説を否定する事態に追い込まれている。

 国連南スーダン派遣団(UNMISS)は声明で「ここ数週間、南スーダン各地で暴力や武力衝突の報告が増えており、非常に懸念している」と述べ、北部ユニティ(Unity)州や南部エクアトリア(Equatoria)地方での戦闘に言及。衝突が起きた地域へのUNMISSの立ち入りが拒否されたことを明らかにし「これらの暴力行為と非戦闘員である市民への攻撃を、明確に非難する」と表明した。

 一方、南スーダンのマイケル・マクエイ(Michael Makuei)情報・放送相は同日、記者会見を開き、キール大統領の死亡説を公式に否定。その後、キール大統領本人がピックアップトラックの荷台に乗って首都ジュバ(Juba)市内を巡り、自身の生存を証明した。

 ジュバではここ数日、大統領死亡説の広がりを受けて恐怖心や緊張が高まっている。治安の悪化を恐れて自宅に閉じこもっているという地元住民は、「現状におびえている。実際には何が起きているのか分からない」と語った。

 2011年7月に独立した南スーダンでは、2013年12月にキール大統領とリヤク・マシャール(Riek Machar)第1副大統領(当時)との対立が武力衝突に発展。キール大統領はマシャール氏がクーデターを計画したと非難し、2年半にわたって内戦状態が続いている。これまで幾度も停戦が結ばれながら失敗に終わっており、特に今年7月に大規模な戦闘が再発したことで、和平交渉は暗礁に乗り上げている。(c)AFP