【10月12日 AFP】中国東部・浙江(Zhejiang)省の温州(Wenzhou)市で10日に起きた集合住宅の倒壊で、亡くなった父親の腕の中で生存していた3歳の女児は、出稼ぎ中の両親に会いに来たばかりの「留守児童」だった。国営メディアが12日、伝えた。

 中国の都市部には、地方から職を求めて出稼ぎに来る大勢の人々が暮らしており、中国の経済成長を支える原動力となっている。

 だがこうした出稼ぎ労働者は収入が少なく、出稼ぎ先に子どもを一緒に連れてくることができないことが多い。こうした場合、子どもたちは地元に残され、祖父母ら親族が世話をしている。両親に会えるのは年に1回程度だ。

 中国のこうした「留守児童」は6100万人に上ると推定されている。鄭州晩報(Zhengzhou Evening News)によると、救助された女児もその一人だった。

■前日に両親に会いに来た「留守児童」

 女児は、母親の実家のある重慶(Chongqing)で祖父と暮らしていたが、倒壊のあった前日、祖父と2人で温州の両親のもとに来たばかりだった。

 だがその翌日早朝、両親らが住む6階建ての建物4棟が倒壊、女児の両親と祖父を含む22人が死亡した。

 女児は、倒壊から14時間後に生き埋めになっているのを発見された際、父親の腕の中に守られていた。靴工場で働いていた河南(Henan)省出身の26歳の父親は、分厚いセメントの柱の下で、娘に覆いかぶさるような格好で発見された。

 女児は軽傷しか負っておらず、治療中は祖父の名前を呼び続けていたという。「祖父と強い結びつきがあったようだ」と医療関係者は語った。

 倒壊した集合住宅には、職場付近の地区に住宅を購入することを法で規制されていた大勢の出稼ぎ労働者が入居していたという。(c)AFP